労災申請の簡単な流れと、弁護士による申請サポート
STEP1
労基署長への請求(申請)
まずは必要な書類を労基署長、または時に病院、に提出し、労災の申請をします。
(必要書類についてはこの後のリンク先にまとめています)
申請するのは労働者の責任です。
会社が代行してくれる場合もありますが、いつもそうであるとは限りません。
労基署のほうで気を利かせて連絡をくれるわけではないので、 自分から動かなければ何も始まらないと思っておきましょう。
請求書は労基署でもらうことができますし、 国のサイトからダウンロードすることもできます。
とはいえ、労基署まで行けば、書類の書き方など、わからないことを色々と教えてもらえますから、 初めての場合は、なるべく足を運ぶのがいいでしょう。
請求書には、会社の署名を記入してもらう欄があるかもしれません。↓
なかには会社が記入を拒むケースもありますが、その場合は、拒まれた旨を用紙に書いて、提出すればいいだけです。 会社の協力は不可欠ではありません。
請求書の他にも戸籍など様々なものが必要になるかもしれません。 何を提出する必要があるかは、申請する給付の種類によって変わります。
必要書類については下記のリンク先をご覧ください。 主だった請求書について、書き方の見本も掲載しています。
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治療費
療養(補償)等給付 -
休業している間の給与
休業(補償)等給付・休業特別支給金 -
大きなケガへの給付
傷病(補償)等年金、傷病特別年金 -
介護費用
介護(補償)等給付 -
後遺症への給付
障害(補償)等給付 -
遺族への給付
遺族(補償)等給付 -
葬儀の費用
葬祭料等(葬祭給付) -
子供や本人の学費
労災就学等援護費
とはいえ、重要なことですが、労基署から提出するよう求められる書類は、 あくまで最低限のものであるに過ぎません。
仕事中にケガをしてすぐに病院に行った、というシンプルな事案であればともかく、 過労死事件などの複雑な事案になると、最低限の書類を提出するだけでは、 労災としてなかなか認められにくいのが現実です。
労災であることをアピールするための証拠を、あなたのほうから積極的に集め、提出しましょう。 労基署ではなかなかそこまでは教えてもらえないかもしれません。 申請にあたっては、専門家に相談されることを強くお勧めします。
労基署まで足を運ばなければいけないのですか?
STEP2
労基署による調査
申請をうけた労基署は、今回の事案を労災であると認めるべきかどうか、 担当官を決めたうえで、調査を始めます。
この担当官が、今後、労基署の窓口になります。
担当官は、あなたや会社、あなたの家族、など、関係者から事情をききます。
聞き取りは、原則として、労基署で行われます。
労基署が、どういう関係者から、どういう内容を聞き取るかは、 事案によってだいぶ異なります。
仕事中にケガをしてすぐに病院に行った、というシンプルな事案であれば、 事故が起きた状況やケガの程度を、本人や会社から聞くぐらいで済むことも多いでしょう。 何の聞き取りもせずに、書類審査だけで労災であると認定するケースも、珍しくはありません。
一方で、うつ病や、働きすぎによる心臓病といった複雑な事案になると、 労基署の調査はかなり力の入ったものになります。
これはうつ病のケースですが、労基署がどういった点を調査するかを記した、国の資料があります。 少々古いですが、今でも参考になるでしょう。
別サイト(東京の社労士さんのサイト)に掲載されていたので、リンクをしておきます。↓
『精神障害の労災認定実務要領について』(PDF)
400ページ以上もある資料ですが、とりあえず32〜51(実ページでは39〜58ページ)を読んでおけばいいでしょう。 家族や友人や医師など広い範囲の人から、労基署が詳細な聞き取りをすることがわかります。
かといって、労基署の担当官に任せきりにするのはよくありません。
あなたのほうでも、新たな証拠が見つかれば、担当官にその都度、提出するようにしましょう。
(証拠は後から追加で提出しても構わないのです。早いに越したことはありませんが。)
決定までにかかる時間は、事案によって異なります。
仕事中にケガをしてすぐに病院に行った、というシンプルな事案であれば、1ヶ月ほどで認定されることも少なくありません。
一方で、うつ病や、働きすぎによる心臓病、などの事案となると、 仕事と病気との関係が明らかでないため、調査に1年、1年半とかかることも珍しくありません。
労災である証拠を、あなたの方で揃えて労基署に提出すれば、 そのぶん労基署の手間が省けるので、調査も早く済みます。
そういう意味でも、 きちんと証拠を揃えてから、労災の申請をするのがいいのです。
とはいえ、どんな証拠を提出すればいいのか、なかなか判断がつかないでしょう。
わからないからといって何でもむやみに提出すれば、却って労基署の調査に支障をきたす恐れもあります。
証拠の提出にあたっては、専門家に相談することを検討してはいかがでしょうか。
仕事中にケガをしたというシンプルな事案であれば、認められることが多いでしょう。 難しいのは、働きすぎによる心臓病やうつ病などです。
統計によると、「働きすぎによる脳・心臓病」の労災認定率は、 30〜40%程度です。↓
うつ病(精神障害)の認定率も、やはり同じぐらいの厳しい数字です。↓
一旦、業務外(=労災ではない)との決定がされてしまうと、 後からそれをくつがえすのは、非常に困難になってしまいます。
申請の段階で、できるだけの証拠を集めるようにしましょう。
独力での証拠集めに不安があるようであれば、どうぞご相談ください。
青葉法律事務所の労災認定サポート
青葉法律事務所では労災申請のサポート業務を行っております。
どちらかというと弁護士は、裁判をする段階で労災事件に携わることが多いのですが、 私たちは裁判になる前に認定を勝ち取ることが重要であると考えています。
弁護士が入るタイミングは、早いほうがいいのです。
労災を申請するのは、手続きだけを見れば、それほど難しいわけではありません。
しかし手続きに必要な最低限の書類を、労基署にいわれるがままに、すなおに提出しても、認定を得るのは難しいのが現実です。
労災の申請は入学試験のようなものと思いましょう。 受験することは誰にでもできますが、合格しようと思えばそれなりの・・かなりの、努力が必要になります。
労基署が教えてくれるのは、いわば願書の提出方法だけ。 合格のために必要な勉強を教えてくれるわけではありません。
受験生が合格をめざして予備校に通うなどするのと同じように、 労災の認定を得るために、専門家によるサポートを検討してはいかがでしょうか。
何をサポートしてもらえるのですか?
私たちが行うことは、裁判を起こすときに行うことと基本的に変わりありません。 依頼人に有利な証拠を集め、不利な証拠にはフォローを入れます。
説得をする相手が、裁判官から労基署に変わるだけですから、 ふだん私たちが行っている弁護士としての仕事と、大きく変わる点はないのです。
労災の認定にあたっては、多くの人が重要であると考えるポイントと、労基署が重要であると考えるポイントとに、 おそらくいくらかの開きがあります。
労基署が重要であると考えるポイントをふまえ、労災であると認定されるために必要な証拠を、私たちはできるかぎり集めます。 この点は特に、働きすぎによるうつ病や過労死事件において重要です。
私たちは労災の申請を、単なる「行政手続き」と考えてはいません。 裁判に匹敵するほどに難しく重要な手続きと考えています。
このまま裁判に移行しても構わないといえるぐらいのしっかりした証拠を、 申請の段階でできるかぎり集める努力をします。
独力での証拠集めに不安があるようであれば、ご相談ください。
ご不明な点があれば、どうぞ青葉法律事務所の電話無料相談をご利用ください。
さて、ここまで申請について見てきました。 申請をして、スムーズに労基署長から労災の認定を受けられればいいのですが、受けられなかった場合でも、そこで終わりではありません。巻き返す機会はまだ用意されています。
次のページでは、審査の再リクエスト、そして再々リクエストについて見ていくことにしましょう。
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